8月12日から17日までの5日間で、中国APIの請求書と公開重みを追っている人は、矛盾して見える3件に同時にぶつかります。DeepSeekは一部APIを最大1100%超値上げし、アリババは未公開だったQwen-Max級2.4兆パラメータの重みを出し、智譜は同じ基盤のまま後学習だけでコーディング成績を数倍伸ばしました。3社3様の打ち手は、同じ合図を指しています。床価格の競争から、価格決定権の競争へ移った、ということです。
本稿は素材稿の範囲で、時系列、人民元の料金表、Qwen仕様、GLMベンチ、3つの論理、横断比較、未検証事項、FAQを整理します。読み終えたら、1100%がどの課金項目か、個人開発者がQwen3.8-Maxを商用利用できるか、GLM-5.3が新基盤かどうか、を答えられるようにします。
01 DeepSeek値上げの2週間:何が、いつ起きたか
現場の痛みは単純です。見出しは「11倍」「1100%超」「350%」を同じ数字のように並べ、ライセンスは「米欧英韓からのダウンロード禁止」と噂されました。日付と行項目を1枚に置けば、切り分けられます。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 7月16日 | Moonshot AIがKimi K3(2.8兆パラメータ)を公開。米側の安全保障上の関心を既に招いていました |
| 7月30日 | OpenAIが最安帯GPT-5.6 Lunaを80%値下げ |
| 8月2–3日 | アリババがQwen3.8-Maxを予告し、続けてクラウドAPIを公開 |
| 8月6–7日 | OpenAIがLunaを無料ユーザーの既定モデルにし、テキスト対話を無制限に |
| 8月10日 | MetaがMuse Glimmer(300億、Apache 2.0)を公開し、旗艦Muse Spark 1.2の重み公開を予告 |
| 8月12日 | アリババがQwen3.8-2.4T-A95BをModelScope / Hugging Faceに公開。同日xAIがGrok 4.6を出荷 |
| 8月13日 | DeepSeek-V4-Pro正式版と8月17日からの値上げを発表。Googleは値下げしたGemini 3.7 Flashを出荷 |
| 8月14日 | 智譜がGLM-5.3を発表。基盤はGLM-5.2と同じ7430億パラメータ |
| 8月17日0時(北京時間) | DeepSeekの新料金が発効 |
距離を取ると、同じ戦いの両面が見えます。中国側は値上げと旗艦重みの公開を同時に進め、米国側は同じ窓で値下げと無料化を進めました。中国の経済メディアは、DeepSeek、アリババ、智譜に加えKimi K3とMiniMax H3の密度を「一週三更」と呼び、世界のAI業界に再価格付けを迫っている、と書いています。
1社は時間帯料金、1社は収益上限つきの重み公開、1社は後学習だけです。揃えると、誰が価格を定義するかの競争になります。
02 DeepSeek新料金、Qwen3.8仕様、GLM-5.3ベンチの対照表
ピークは北京時間9–12時と14–18時です。単位は100万tokensあたり人民元です。出典はDeepSeek公式発表で、素材稿は華爾街見聞、IT之家、V2EXなどで交差確認しています。
| 課金項目(100万tokens) | 旧 | 新・オフピーク | 新・ピーク | ピーク上昇 |
|---|---|---|---|---|
| V4-Flash キャッシュヒット入力 | ¥0.02 | ¥0.05 | ¥0.10 | 約400% |
| V4-Flash キャッシュミス入力 | ¥1.0 | ¥1.5 | ¥3.0 | 200% |
| V4-Flash 出力 | ¥2.0 | ¥4.5 | ¥9.0 | 350% |
| V4-Pro キャッシュヒット入力 | ¥0.025 | ¥0.15 | ¥0.30 | 約1100% |
| V4-Pro キャッシュミス入力 | ¥3.0 | ¥4.5 | ¥9.0 | 200% |
| V4-Pro 出力 | ¥6.0 | ¥13.5 | ¥27.0 | 350% |
見出しの1100%は、ピーク時のキャッシュヒット入力です。実請求を動かすのは出力(350%)とキャッシュミス入力です。素材稿が引用する試算では、オフピーク中心・ヒット率が高い重度利用者の請求上昇は約1.8倍です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| パラメータ | 総2.4兆、活性950億(MoE、専門家512、ルーティング10+共有1) |
| コンテキスト | 公開重みは原生26.2万tokens、約101万まで拡張可。クラウドMaxは既定100万 |
| 公開の流れ | 8月2日予告 → 8月3日API → 8月12日重み公開 |
| 国際API | 入力$2 / M、出力$6 / M |
| ライセンス | Apache 2.0ではない。独自「Qwen3.8-Max License」 |
| 意味 | アリババ初のMax級旗艦の重み公開。Qwen3.5 / 3.6 / 3.7 MaxはAPIのみでした |
| ベンチ | GLM-5.2 | GLM-5.3 | 変化 |
|---|---|---|---|
| Terminal-Bench 3.0 | 4.6% | 28.3% | +23.7 |
| DeepSWE v1.1 | 46.2% | 66.9% | +20.7 |
| Agents' Last Exam(CLI) | 23.8% | 28.5% | +4.7 |
| CyberGym | 77.2% | 84.5% | +7.3 |
| AutomationBench | 26.2% | 48.2% | +22.0 |
第三者の再測定はまだありません。Terminal-Bench 3.0ではGPT-5.6 Sol(34.6%)とClaude Fable 5(33.7%)に遅れます。全面首位ではなく、公開重みの第一集団、という位置です。
見出しはキャッシュヒット入力、請求書は出力とキャッシュミス入力を見てください。
03 時間帯料金、独自ライセンス、後学習——3社は何に賭けたか
DeepSeekは計算資源の逼迫を料金表に出しました。「最安モデルが利幅に屈した」と読むのは簡単です。構造を見ると、需要が指数で伸び、GPUが追いつかない局面で、均一安値をやめ、ピークを利用側にずらすよう求めています。公式文の「より柔軟なワークロードスケジューリング」は、その言い換えです。ピークでは公式APIがGMI CloudやNovitaなど第三者再販より高くなる、という素材稿の指摘もあります。「公式が常に最安」という前提は、初めて壊れました。
アリババは生態系を取り、収益天井は残しました。2.4兆の重みを公開する一方、年商5000万ドル超の「モデル・アズ・ア・サービス」または「AIワークアシスタント」には別途商用許諾が必要です。月間アクティブ1億超、または月収2000万ドル超の製品は、画面上でモデル名を明示しなければなりません。MetaのMuse Glimmer(制限なしのApache 2.0)とは、公開の度合いが違います。米欧英韓からのダウンロード禁止という噂は誤りで、公式文に地域条項はありません。
GLM-5.3は基盤を作り直していません。7430億パラメータは5.2と同じです。事前学習の再実行はなく、強化学習環境を広げた後学習だけで、Terminal-Bench 3.0は4.6%から28.3%へ、約6倍です。事前学習の限界収益が鈍るなか、後学習の規模化は、千億級基盤を一から作るより低い敷居のレバーになります。
China labs · Aug 12–17 2026
DeepSeek TOD pricing · cache-hit input ~1100%
Qwen3.8 2.4T-A95B weights + custom license
GLM-5.3 same 743B base · post-training only
US labs Luna -80% then free default · Gemini 3.7 Flash cut
Signal pricing power, not floor price
- V4-Proキャッシュヒット入力:¥0.025 → ピーク¥0.30、約1100%。
- Qwen3.8-Max:総2.4兆 / 活性950億。国際API $2 / $6。独自ライセンス。
- GLM-5.3 Terminal-Bench 3.0:4.6% → 28.3%(自己測定)。Sol 34.6%、Fable 5 33.7%には届きません。
04 値上げ後もDeepSeekは最安か:6手順で確認する
換算は約¥7.15 / $1です。目安であり、公式発表が優先です。
| モデル | 入力(100万tokens) | 出力(100万tokens) | 重み公開 |
|---|---|---|---|
| DeepSeek V4-Pro(ピーク) | ¥9.0(約$1.26) | ¥27.0(約$3.78) | 未公開 |
| DeepSeek V4-Pro(オフピーク) | ¥4.5(約$0.63) | ¥13.5(約$1.89) | 未公開 |
| Qwen3.8-Max(国際) | $2 | $6 | 公開(独自ライセンス) |
| OpenAI GPT-5.6 Luna | $0.20 | $1.20 | 非公開 |
| Claude Opus 5(アリババ開示の倍率から推計) | 約$5 | 約$25 | 非公開 |
オフピークのV4-ProはClaude Opus 5より明らかに安いです。ただし「場内最安」ではなくなりました。国際Qwen3.8-MaxとLunaは、オフピークのDeepSeekより安いです。「中国製=最安」は、もう安全な前提ではありません。
素材稿が未検証と明記する点:
- 1100%は正確でも、全体ではありません。ピークのキャッシュヒット入力だけです。出力は350%です。
- 震悟M890 / 盤古AL128は中国経済メディアの転述で、アリババ公式技術文書や第三者ベンチはありません。
- GLM-5.3がCursorの重大脆弱性を見つけたという話はVentureBeatと智譜側です。技術詳細は未公開です。
- 中国商務部の対抗輸出規制は公式確認がなく、報道の推測です。
確認の6手順:
- DeepSeek公式料金を開く:キャッシュヒット入力、キャッシュミス入力、出力を、オフピークとピークで分けて記録します。ピークは北京時間9–12時と14–18時、発効は8月17日0時です。
- 見出しの倍率を行項目に戻す:約1100%はV4-Proピークのキャッシュヒット入力、350%は出力、200%はキャッシュミス入力です。
- Qwen3.8-Max Licenseの本文を読む:地域制限はありません。直近12か月で5000万ドル超のMaaS / AIワークアシスタントは別途許諾、月間1億超または月収2000万ドル超はモデル名の明示が必要です。
- GLM公式ベンチを対照する:基盤は7430億で同一、再事前学習なし、Terminal-Bench 3.0は4.6%→28.3%。第三者再測定はなく、SolとFable 5には届きません。
- 自分の比較表を作る:DeepSeekのオフピーク/ピーク、Qwen $2/$6、Luna $0.20/$1.20、Opus 5 約$5/$25を同じ口径に置きます。
- 負荷を時間帯で振る:オフピークかつヒット率が高ければ約1.8倍に近づきます。ピークかつミスが多いと見出しに近づきます。重みを自前で載せるなら、ライセンスとノードを先に見積もります。
一次情報(公開後もリンクを開き直して本文を確認してください):
05 DeepSeek値上げFAQ:請求、ライセンス、ノードの選び方
FAQ
- 値上げ後は、使うと必ず高くなりますか。時間帯次第です。北京時間9–12時・14–18時を避け、キャッシュヒット率が高ければ、350%や1100%より低く、重度利用者で約1.8倍という試算があります。ピーク集中かつヒットが低いと、見出しに近づきます。
- 個人開発者はQwen3.8-Maxを無料で商用利用できますか。個人と社内利用は、ほぼ影響しません。過去12か月で5000万ドル超のMaaS / AIワークアシスタントは、別途許諾が必要です。月間1億超または月収2000万ドル超は、画面上の明示が必要です。
- GLM-5.3と5.2は同じモデルですか。基盤は同じ7430億です。再訓練はありません。伸びは後学習で強化学習環境を広げた結果です。
- 米欧ユーザーのダウンロード禁止は本当ですか。違います。公式文に地域条項はなく、制限は売上規模です。
- MetaのMuse GlimmerでLlama時代は戻りますか。部分的です。Glimmerは300億の蒸留モデルで、旗艦Muse Spark 1.2は未公開です。予告が実行されて初めて、米側旗艦の公開と言えます。
地政学の層も、素材稿は慎重に書いています。Kimi K3の公開は既に米側の安全保障審査の関心を招いていました。この窓で2.4兆を出す判断を、「規制が締まる前に国際的な存在感と技術対等の物語を固める」と読む分析もあります。確定事実ではなく、タイミングを読むときの背景です。
公式の安値APIだけを追うと、ピークの時間帯料金に当たります。2.4兆MoEの重みだけを落としても、安定したノードがなければ再現可能な本番にはなりません。共有GPUクラウドは隔離、ライセンス表示、7×24のログを混ぜがちです。Cursor、ローカル公開重み、iOS CI/CDをフルのmacOSで回し、ノードを常時オンラインにしたいチームには、CALMVPSのベアメタルMac Miniレンタルが、より適した解になることが多いです。専有のApple Silicon、月単位の伸縮、約120秒で引き渡します。機種と価格はCALMVPS料金ページを見てください。
出典:DeepSeek公式値上げ発表(華爾街見聞、IT之家、AIGC、V2EXで交差確認)。アリババQwenの公式モデル置き場(Hugging Face / ModelScope)とSCMPのライセンス報道。智譜(Z.ai)GLM-5.3公式技術ページ、VentureBeat、StableLearn。Meta AI Research公式ブログとVentureBeatのMuse Glimmer報道。第一財経、搜狐財経など中国側の公開密度に関する総合報道。価格、ライセンス、ベンチは公開時点の整理です。再掲前に公式文を再確認してください。チップ、脆弱性、輸出規制の話は本文で未検証と記しています。